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WORD PAINTING

白い風景のなかでいつまでも空を眺める
あの日の空を見た気がした
翳りゆく意識から言葉や情景が少しずつ毀れていく
凍えそうなほど心が傷み、温もりの輪郭をより鮮明に感じた
ただ呼吸することしかできない
この白昼夢のような世界で、存在を繋ぎとめるもの
紡ぐように大切に描かれた時と形
いずれ無になろうとも、私は此処にいるだろう
僅かな温みを抱き、遠い記憶の狭間に立ち竦む
終わりなき歌があなたには聴こえますか

PROFILE

益村千鶴

1972 山口県に生まれる
1993 比治山女子短期大学美術科卒業
日本在住

主な個展

2026
益村千鶴展(仮称)|日本橋高島屋美術画廊X|東京
2024
益村千鶴展|YUMEKOUBOU GALLERY|京都
2024
INSCAPE|GALLERY SAOH and TOMOS|東京
2022
画集刊行記念展|梅田蔦屋書店|大阪
2021
画集刊行記念展|森岡書店|東京
2021
画集刊行記念展|Gallery Suchi|東京
2016
Chiasma|Gallery Suchi|東京
2014
Sign|Gallery Suchi|東京
2011
Someday|neutron tokyo|東京
2010
Tenderness|neutron kyoto|京都
2009
Faint light|neutron tokyo|東京
2009
Vestige 記念受賞作家展|神戸芸術センター|神戸
2008
Esperanza|neutron kyoto|京都
2006
Remembrance|galeria CERO|大阪
2005
adagio|財団法人ベルギー・フランドルセンター|大阪
2005
a gust of wind went through.|Pantaloon|大阪
2004
益村千鶴展|Art Garden|岡山
2004
a long time ago…|Guild Gallery|大阪

主なグループ展

2025
Rethink-写実を再考する-|Artglorieux Gallery|東京
2025
洋画の現在|日本橋三越本店 美術特選画廊|東京
2024
鉛筆画展|日本橋三越本店 美術特選画廊|東京
2024
知覚への扉|高島屋 美術画廊|東京, 大阪, 京都, 名古屋
2024
Rethink -写実を再考する-|Artglorieux Gallery|東京
2024
匠 −技と技の饗宴−|日本橋三越本店 美術特選画廊|東京
2023
アートの現在地|日本橋三越本店 美術特選画廊|東京
2021
電線絵画展|練馬区立美術館|東京
2020
FREE COLORS|日本橋三越本店 美術特選画廊|東京
2020
10周年記念展 -Rising-|Gallery Suchi|東京
2018
第10回 前田寛治大賞展|日本橋高島屋美術画廊, 倉吉博物館|東京, 鳥取
2016
ざ・てわざ -未踏への具象-|日本橋三越本店 美術特選画廊|東京
2015
Creative Gallery|ナレッジサロン・グランフロント大阪|大阪
2014
ASIAN REALISM Ⅱ|Yoshiaki Inoue Gallery, 也趣藝廊|東京, 台北
2014
第9回 前田寛治大賞展|日本橋高島屋美術画廊, 倉吉博物館|東京, 鳥取
2014
M氏コレクション展|Gallery Suchi|東京
2013
3331 ART COLLECTOR FAIR|3331 Arts Chiyoda|東京
2012
詩とアートが出逢うとき|ギャラリー絵夢|東京
2012
One Piece Exhibition|Tezukayama Gallery, Megumi Ogita Gallery|大阪, 東京
2011
来るべき世界|neutron tokyo|東京
2010
Korea-Japan Contemporary Art Exhibition|Bumi Art Hall|釜山
2010
GALA CONTEMPORARY ART|アートプロガラ|福岡
2009
星に願いを|neutron tokyo|東京
2009
第28回損保ジャパン美術財団選抜奨励展|損保ジャパン東郷青児美術館|東京
2008
芸術センター記念絵画公募展|日本芸術センター|東京, 神戸, 福岡
2007
Gallerism|大阪府立現代美術センター|大阪

アートフェア

2019
アートフェア東京|東京国際フォーラム, 個展ブース|東京
2018
アートフェア東京|東京国際フォーラム|東京
2017
アート大阪|ホテルグランビア大阪|大阪
2017
アートフェア東京|東京国際フォーラム|東京
2016
アートフェアアジア福岡|ホテルオークラ福岡|福岡
2016
アート大阪|ホテルグランビア大阪|大阪
2016
アートフェア東京|東京国際フォーラム|東京
2015
アート大阪|ホテルグランビア大阪|大阪
2015
アートフェア東京|東京国際フォーラム|東京
2014
アートフェア東京|東京国際フォーラム|東京
2013
台北国際芸術博覧会|台北世界貿易センター|台北
2013
アート大阪|ホテルグランビア大阪|大阪
2013
アジアホテルアートフェア香港|マンダリンオリエンタル香港|香港
2012
アートフェア東京|東京国際フォーラム, 個展ブース|東京
2011
Young Art Taipei|サンワールドダイナスティーホテル|台北
2009
EMERGING DIRECTORS' ART FAIR "ULTRA002" |Spiral|東京

受 賞

2011
Young Art Award|ファイナリスト Top5|台北
2008
芸術センター記念絵画公募展|審査員賞
2006
第23回FUKUIサムホール美術展|奨励賞
2005
第22回FUKUIサムホール美術展|佳作
1999
欧美国際ドローイング・デッサン・版画コンクール|入選|パリ

作品画集

2021
FRUCTUS Chizuru Masumura|求龍堂
2021
FRUCTUS Chizuru Masumura|特装版|求龍堂

出版物

2016
現代画家が描く 美と幻想の世界|綜合図書
2013
写実画のすごい世界|実業之日本社
2013
GRAPHIC 現代の洋画25|マリア書房

文芸書装丁画

2025
「怪物」東山彰良|尖端出版(翻訳出版)|台湾
2024
「怪物」東山彰良|新潮社
2021
「悪の芽」貫井徳郎|KADOKAWA
2020
「眠りの神」犬塚理人|KADOKAWA
2014
「カノン」 中原清一郎|河出書房新社
2014
「美幸」 鈴木おさむ|KADOKAWA

サウンドアルバム・カバーアートワーク

2013
“Depth of Decay” Ryo Murakami |Vinyl 2LP + CD

TV CM 絵画作品提供

2012
“いち髪” 2012 AW シリーズ|クラシエホームプロダクツ

講演会

2023
開講科目ゲスト講演会・ワークショップ|比治山大学
2022
開講科目ゲスト講演会|比治山大学

トークイベント

2021
益村千鶴(Artist)× 川瀬慈(映像人類学者・国立民族学博物館・総合研究大学院大学教授)
「イメージの胚胎をめぐって」|本屋BandB
2021
森岡督行(森岡書店)×清水恭子(求龍堂 編集長)×益村千鶴(Artist)|森岡書店

ラジオ出演

2024
RadiCro (インターネットラジオ)ゲスト出演|毛利嘉孝のアート・リパブリック

CONTRIBUTION

 益村千鶴は、古い時代の西洋絵画が好きだという。モチーフには、その影響は見られないが、油彩画が確立された中世の技法や画材に興味を持っていることは、その描き方のこだわりから見える。油絵の具を何度も塗り重ねで深めていく技法は、長時間のテンションを保つことが必要であり、彼女は決して多作ではない。
 自らの身体の一部分や切り抜いたかのような植物を描くことで、私たちの日常とは、かけ離れた情景を見せてくれる。彼女の描く絵画は、細密な描写、つややかな画面から、まるで静かな吐息が聞こえてくるようである。その描写は、見入る人を拒絶するような、冷たい情感を持っている。すべてが完結して、他者が入り込む余地がない。あまりにも冷ややかで醒めた時間を示してくれる。私は、そこにやさしさやあたたかみを感じ取ることが出来ない。その拒絶感にも似た画面の表情が彼女の絵の魅力なのだろう。
 2010年のニュートロン京都の個展は、「Tenderness」と題される。彼女自身が「近作は、情感のあるものが多い」と語るように、これまで私たちが目にしてきた作品とは、異なった姿勢で描いている。これまでが、突き放した情感をあらわに表現していたことに対して、今回は、タイトルの意味である、単なる「優しさ」だけではなく、別の意味でもある「感じやすさ」「かよわさ」も描きたいという。そこには、彼女自身のゆるやかな感情の動きがあるのかもしれない。彼女自身が持っている秘めた感情を息づかいとして新作が生まれてくる。それでも内面から湧き出るものを押さえながら、彼女が感じる瞬間を楽しんで描いている。そこに表れるモチーフは、私たちに何を伝え、感じさせるのだろうか。  絵画とは、仕上げるものではなく、生み出すものであることを教えてくれる。

河崎 晃一 | インディペンデント キュレーター
(元兵庫県立美術館 チーフキュレーター/館長補佐)
2010年 neutron kyoto Tenderness展に寄せて